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映画「リンドグレーン」うん、一生懸命に生きていくしかないな。

スウェーデンを代表する世界的児童文学作家アストリッド・リンドグレーン。作家と並行して出版社で児童書の編集長を務め、児童文学界におけるノーベル賞にあたる「国際アンデルセン賞」をはじめとする多数の賞を受賞し、80歳の誕生日にスウェーデンの首相から動物保護法案を贈られ、ストックホルム大聖堂での葬儀には国王も参列し、2015年にはスウェーデンの紙幣に肖像が描かれた。……という彼女の経歴は知っていたけれど、その人生の中で彼女が何と出会い、何が彼女を形作ったのかについて考えを巡らせたことはこれまでなかった。


スウェーデンでタクシーに乗った時、何をしに来たのかを訊かれて「長くつ下のピッピのアイテムなどを日本に紹介しているんですよ」と答えたら、くしゃくしゃに笑って歓迎してくれたのを思い出す。スウェーデンの空港にも、国を代表する人々の紹介の中で、ひときわ目立つ場所にアストリッド・リンドグレーンの写真が置かれてピッピのテーマソングが流れていた。ストックホルムにある「ユニバッケン」という彼女の作品を体験できるテーマパークも、いつでも子供たちとその保護者とで大賑わいだ。スウェーデンの人々にとって、彼女はまさしく誇りであり、彼女の作品は子供に伝えていきたいものなのだ。



自由に生きるということは、みんなが求めるけれど、なかなか実現できない。「おかしなこと」に正しく怒り、よりよくするために努力を重ねる。大きな力に押しつぶされそうになりながら、足をもつれさせながら、がむしゃらに走り続けて、光に満ちた草原にたどり着く。アストリッド・リンドグレーンもそうだったのだ。この作品が教えてくれた。それが彼女を形作り、その偉大な功績により、世界の子供たちや抑圧される人々を今も救い続けている。一人の人間として苦悩する姿に私は共感し、現状を打ち破る彼女の背中に光を見る。辛いことも哀しいことも受け入れて、一生懸命に生きていくしかないな、と腹をくくる。ベショベショに泣いてしまったのは、彼女を通して自分の抱える様々な事柄を消化した果ての排泄だったのだろう。エンドロールが終わる頃、とても清々しい気持ちだった。


その晩、書棚から「はるかな国の兄弟」を抜き出して読んだ。思わずアストリッド・リンドグレーンの著作を読み返したくなってしまう映画だった、と知人に話したら、まさしく彼も同じで、すぐに書棚に向かったそうだ。彼女の著作をまだ読んだことのない人が、それに触れるキッカケになればと思う。


映画で主人公たちも来てましたね、ストックホルム市立図書館。私も大好きな場所です。


映画「リンドグレーン」
監督・脚本:ペアニレ・フィシャー・クリステンセン 脚本:キム・フォップス・オーカソン
出演:アルバ・アウグスト、マリア・ボネヴィー、マグヌス・クレッペル、ヘンリク・ラファエルセン、トリーネ・ディアホム
2018年/スウェーデン=デンマーク/スウェーデン語・デンマーク語/123分/カラー/シネスコ/5.1CH
原題:UNGA ASTRID 字幕:大西公子 字幕監修:菱木晃子
後援:スウェーデン大使館、デンマーク大使館 配給・宣伝:ミモザフィルムズ レイティング:PG12
© NORDISK FILM PRODUCTION AB / AVANTI FILM AB. ALL RIGHTS RESERVED.
http://lindgren-movie.com/

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