北欧に造詣の深い、ジャーナリストの萩原健太郎さんをお招きして、北欧デザインやライフスタイルについてうかがいます。毎月1回、第4金曜日の更新です。
萩原健太郎のDESIGN FROM SCANDINAVIA 第12回
第12回
北欧のバレンタイン
先月のコラムでは、北欧のクリスマスについて書きました。
今月は、そろそろ準備し始めている人も、そわそわし始めている人もいるかもしれない、バレンタインについて書いてみたいと思います。
ただ、僕がデンマークにいたときは、まったくといっていいほど、意識することはありませんでした。
それは、もしかしたら僕だけ縁がなかったのかもしれないので、少し調べてみました。
デンマークのバレンタインは、恋人同士で花やスイーツをプレゼントしあったり、ロマンチックな食事を楽しんだりするそうです。
他にも、赤いバラの代わりに白いスノードロップを贈りあったり、男性から女性へゲッケブレウ(gækkebrev)と呼ばれるユーモアのあるポエムが書かれたカードを匿名で送り、送られた方が差出人を当てられたら、その後のイースターでイースターエッグをもらえるという習慣もあるそうです。
いずれにしても、日本のように、女性から男性への愛の告白という日ではないみたい。
フィンランドの場合は、「友だちの日」とされていて、さらに恋愛色は薄まります。
「良い友だちの日を」を意味する、「Hyvää ystävänpäivää(ヒュヴァ・ユスタヴァンパイヴァ)」という言葉を交わし、カード、花(チューリップが定番)、チョコレートなどを贈りあい、日頃の感謝を伝えるそうです。
今から4年前の2018年の2月14日、僕はスウェーデンのストックホルムにいました。
デンマークに暮らしていたときと同様、盛り上がりを感じることはなかったのですが、花屋さんが忙しそうにしていたのを覚えています。
バレンタインの日には、特に赤いバラがよく売れるそうです。
街角の花屋さん。赤い花が目立ちます
レストランで食事を楽しむカップル
そして、日本のバレンタイン。
北欧大好きな僕ですが、まあ、バレンタインは日本流がいいのかな、と(笑)。
やっぱり、女性からチョコレートをもらうと嬉しいですしね。
ただ、「義理チョコ」というのは少し寂しいかな。
義務のように感じるから。
フィンランドのように、友情とか感謝とか、ポジティブな感情が含まれるといいのかな、と思います。
女性から男性だけでなく、女性から女性、男性から女性、男性から男性でも……。
そうした気持ちが込められているものなら、一粒のチョコレートでも、一輪の花でも、一枚のカードでも、嬉しいと思うのです。
萩原 健太郎
萩原 健太郎
http://www.flighttodenmark.com
ジャーナリスト。日本文藝家協会会員。1972年生まれ。大阪府出身。関西学院大学卒業。株式会社アクタス勤務、デンマーク留学などを経て2007年独立。デザイン、インテリア、北欧、手仕事などのジャンルの執筆および講演、百貨店などの企画のプロデュースを中心に活動中。著書に『北欧の絶景を旅する アイスランド』『フィンランドを知るためのキーワード A to Z』(ネコ・パブリッシング)、『北欧とコーヒー』(青幻舎)、『にっぽんの美しい民藝』『北欧の日用品』(エクスナレッジ)、『北欧デザインの巨人たち あしあとをたどって。』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『ストーリーのある50の名作椅子案内』『ストーリーのある50の名作照明案内』(スペースシャワーネットワーク)などがある。
店長カトーより
北欧のバレンタインデーは日本とはだいぶ異なるのだろうな、と想像していましたが、デンマークのユーモアカードはおもしろいですね。これはもらってみたいし、送ってみたいかも。日本でも、フィンランドのように感謝や友情をこめたチョコレートギフトは昔から贈りあっていますね。うれしいものですよね。なんだか親近感を感じます。